プレスリリース

2024年頭あいさつ

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2024年頭あいさつ

新年おめでとうございます。組合員の皆さまとご家族の皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。

フード連合 会長 伊藤 敏行

2023年を振りかえれば、国際情勢は、紛争が絶えない年でありました。長期化するロシアによるウクライナへの侵略や、パレスチナ・ガザ地区を実効支配するハマスとイスラエルの戦闘、いずれも多くの市民が犠牲となっています。いかなる理由があっても、罪のない人々が犠牲になるようなことはあってはならず、今、各地で起こっている紛争が一日も早く終結することを願うばかりです。

 国内においては、新型コロナウイルス感染症の分類が「5類」へ引き下げられ、ようやく日常生活が戻ってきました。

人の動きが活発になり、最近では、外国からの観光客が増え、全国各地の観光地が賑わっています。外国人から見た日本の魅力は、さまざまな調査によると「治安の良さ」、「街の美しさ」等が、上位を占めています。それと勝るとも劣らないのが、日本の「食」の魅力です。日本の「食」は、今や、全世界から高く評価されています。外国人から見れば「こんなに美味しいものが、こんなに安いのか」と思っているはずです。

今では、多くの日本の飲食店が海外進出していますが、どの国も日本より割高です。「海外が高いのか」「日本が安いのか」。私は「日本が安い」、「商品価値に対して安すぎる」と思います。

 皆さん、ひとつの「食料品」が消費者に届くまでを想像してみてください。農家が、自然を相手に作物を育て、その原材料を徹底した衛生管理のもと食品製造業者で加工する。そして、物流業者が商品管理し、運送業者が確実に届け、さらに小売業者が、飲食店業者が消費者に対して販売(提供)しています。このように生産者から消費者に届くまでの過程において、多くの労働者が携わっています。

「最近、食料品が高騰し、生活が厳しくなった」と言われると、心が痛みます。食料品は生活必需品であるため「安いのが当たり前」ということが国民の意識の中に強くあります。よって、企業も価格転嫁には消極的で、長年、労務費はじめ、あらゆる経費削減を行ってきました。

 このような長年染みついたデフレマインドを断ち切って、物価も賃金も安定的に上昇し、経済の好循環を実現するために取り組んだ2023春季生活闘争において、連合は約30年ぶりの高水準の賃上げ結果となり、また、フード連合は、加盟組合のご奮闘により連合集計を上回り、結成(2002年)以来、最も高水準の賃上げが実現できました。

これから2024春季生活闘争が本格的にスタートします。低位にある食品関連産業労働者の相対的地位の向上のためにも、継続した賃上げの流れを、大手のみならず中小へ、非正規労働者へ、さらには未組織労働者へ広く波及させていかなければなりません。そのためにも、特に企業数で99%を占める中小企業が労務費を含めた価格転嫁を確実にしていく必要があります。

 「商品の価値」は、「労働の価値」でもあります。「労働の価値」は尊いもので、格差があって当然ではありません。

 人が生きる上で欠かすことができない「食」、世界中が認める素晴らしい日本の「食」、この「食の価値」を、そして、「食」に携わるすべての働く仲間の「労働の価値」を世の中に認めてもらうためにも、フード連合11 万人、心をあわせ、力あわせてともに頑張りましょう。

 本年も加盟組合のご理解・ご協力をお願いするとともに、食品関連産業で働くすべての仲間の皆さまのご健勝を祈念し、新年のご挨拶と致します。

フード連合 会長 伊藤 敏行