将棋に学ぶ

将棋に学ぶ

将棋界のスーパースター藤井聡太が、この度、史上最年少(19歳6ヶ月)で5冠(竜王、王位、叡王、棋聖、王将)を達成した。この先、どこまで記録を伸ばすのかとても楽しみだ。

 先日、ラジオを聴いていて、普段、何気なく使っている言葉が、将棋に由来するものが多いことを知った。

代表的なものとしては、「先手」、「後手」、「高飛車」、「成金」、「手駒」、「王手」、「逆王手」、「詰み」、「終局」等、実は、「序盤」、「中盤」、「終盤」、も将棋用語である。

解説書によれば、将棋の戦法は、「序盤」は、相手がどのような戦法で攻めてくるか見極めながら、できるだけ優位になるような陣形を作る。

「中盤」は、相手と自分の駒がぶつかり合って、激しい攻防が行われる。頭をフル回転させて、少しでも相手より優位に立てるようにする。

「終盤」では一手の判断が勝敗に直結するから、駒の損得より相手よりいかに早く詰ませられるか意識を集中させる。「終盤」で勝ち切ることができるかどうかは、詰みを見つけられるかどうかである。

将棋の対局、何か労使交渉に似ている気がします。労使交渉は、議論を闘わせる場であり、労使双方とも「高飛車」な態度でなく、お互いの立場を尊重し真摯に取り組む。「序盤」労働組合が、まず「先手」を打って要求書を提出する。我々は、決して、「成金」になるために賃上げ要求しているのでなく、労働の価値に見合った正当な分配を求めていることを主旨説明し、「中盤」交渉が始まれば「後手」に回らぬように、組合員の声など「手駒」となる交渉材料を多投し、経営側に訴える。「終盤」徹底的な議論を尽くし、経営側に誠意ある回答を求める。経営側の抵抗により、「王手」をかけられて「詰」まれそうになっても、最後まであきらめず「逆王手」をかけ労働組合の主張を粘り強く訴え、「終局」を目指し闘い抜く。

さあ、いよいよ2022春季生活闘争が始まります。共に頑張ろう。

フード連合 会長 伊藤敏行