大企業と中小企業が共存共栄できる社会

大企業と中小企業が共存共栄できる社会

中小企業基本法では、製造業なら資本金3億円以下、常時使用する従業員数300人以下の、いずれかを満たすのが中小企業と定義されてます。

日本の中小企業は、全企業総数の99.7%、従業員数は68.8%を占めています。

これから就職活動をする学生は、賃金や休日等が好条件で、しかもネームバリューのある大企業を希望する方が多いでしょう。しかし、中小企業には、大企業にはないメリットがあります。

例えば、配属先が明確である。業務については、若くして裁量権を与えられ、責任あるポジションにつきやすい。又、経営者トップとの距離が近く、会社の全体像がつかみやすい。

中小企業の中には、ニッチな分野で高いシェアを誇る企業、高い技術力を持つ企業、地域密着経営で業績を伸ばしている企業など、魅力的な企業はたくさんあります。

昨今、「日本は中小企業が多すぎる」、「生産性の低い企業は退場すべきだ」と主張するマスコミや評論家がいます。

私は、彼らに問いたいです。適正な中小企業の数はいくらなのか?中小企業が無くなって、大企業だけになれば日本経済は良くなるのか?と。

どの業界も、消費者に商品やサービスを提供するまで、多くの企業が関わっており、大企業では臨機応変にできない分野を、機動力のある中小企業が担っています。

そして何よりも、中小企業が地域の雇用・経済を支えているのです。

中小企業を淘汰するのでなく、大企業も中小企業も共存共栄できる社会にしていくことが必要ではないでしょうか。

そのためには、価格転嫁を含めた適正な取引の実現と賃上げが必要です。

加盟組合はもちろん、組織されていない多くの中小企業の労働者へ賃上げの流れを波及させるためにも、私たちの闘いは、まだまだ続きます。

 

フード連合 会長 伊藤敏行