夏休み

夏休み

「新しい朝が来た 希望の朝だ」と歌が流れてくれば「ラジオ体操」の時間です。私が子供の頃は、夏休みになれば、あちこちの公園や広場で「ラジオ体操」が実施されていました。

今日から学校が休みで、ゆっくり寝れると思いきや、親に起こされ寝ぼけ眼で公園に向かう。歌が流れている間に、ぞろぞろ集合して、「ラジオ体操第一」の掛け声でスタート。

みんなの前で模範として体操するのは、高学年のお兄ちゃん、お姉ちゃん、体操が終わればすぐさま、首に掛けたカードに「はんこ」を押してもらうために当番のおじさん、おばさんのもとへ猛ダッシュ。

この段階で、すっかり目覚め、体はもう遊びモードに切り変わる。そのままずっと遊んでいたいところだが、まだ朝ごはんを食べていないので、友達と遊ぶ約束をし、一旦、家に戻る。

昔はどこでも当たり前におこなっていた夏休みの「ラジオ体操」がめっきり減少しているようです。

ラジオ体操は、国民の健康増進のために、誰でもできる簡単な体操として逓信省(かつて日本に存在した郵便や通信を管轄する中央官庁)が考え、1928年から放送されました。1930年に東京の神田万世橋署の巡査が「夏休みでも子どもたちが規則正しい生活を送れるように」と考えたのをきっかけに、夏休みのラジオ体操が全国に普及したそうです。

ラジオ体操は、体全体を動かす体操を組み合わせて構成されており、日常生活で使わない筋肉や関節、骨に影響を与えます。ラジオ体操をしっかりおこなうと、全身の7割もの筋肉が動かされ、体幹も鍛えられます。また、骨が刺激されることで、骨の成長や活性化も期待できます。

ラジオ体操にはいくつものメリットがあるにも関わらず、なぜ減ってきてしまったのでしょうか。ラジオの音や集まった子どもたちの声がうるさいと苦情が入る、親の当番が苦になるなど、理由は様々あるのでしょう。

時代の流れなので仕方ないと片付けず、子供たちにとって良いものを、時代にあった方法で継承することができないだろうかと思います。

 将来のある子供たちを、地域で見守り、育てる社会にしていくためどうすべきか、大人たちに与えられた夏休みの宿題を一緒に考えてみませんか。

フード連合 会長 伊藤敏行