「記録」より「記憶」

「記録」より「記憶」

大相撲春場所で、ひとりの若者が偉業を達成しました。

実に110年ぶりに新入幕で優勝を果たした「尊富士(たけるふじ)」(24歳)です。

初日から11連勝し、昭和の大横綱・大鵬の記録に並んだ時のコメントが「うれしいけど、記録よりも記憶に残る力士になりたい」でした。

14日目に右足を負傷し、休場かと思われましたが、千秋楽で見事、勝利し、賜杯を手にしました。優勝インタービューでも「記録も大事だが、みなさんの記憶にひとつでも残りたくて、必死で頑張りました」と清々しい受け答えに、会場は、大いに盛り上がりました。

「記録」より「記憶」、スポーツの世界では、「記録」が必ずしもトップでなくても、ファンの心をつかむアスリートはたくさんいます。若い「尊富士」には、「記録」も残し「記憶」に残る力士に成長して欲しいと期待します。

 

一方、期待外れだったのが、国会における政治倫理審査会です。自民党派閥の政治資金パーティーの不記載、いわゆる裏金問題について、出席した議員の弁明は、真相解明にはほど遠いものでした。

 皆、口を揃えて「記憶」にないの連発です。中には、「記録」も「記憶」もない、との発言もありました。

 選挙演説時、マイク片手に、原稿も見ずに、流暢に話す議員の記憶力は優れているはずで、「記憶にない」など、俄かに信じがたいです。

将来にわたり、彼らは、元〇〇大臣といった「記録」は消えずに残ります。

しかし、いくら大臣としての功績があっても、政治不信を招いた議員であると、国民はしっかり「記憶」し、投票行動によって、意思表示する必要があります。

 私たちは、労働者・生活者のために、必死で頑張る、正直な議員・候補予定者を支援していきたいです。

 

フード連合 会長 伊藤敏行